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Chapter1-2

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蒼山 継人

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​ふくろう​​

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蒼山選書

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著 者:垣根  涼介

出版社:新潮社

発行日:‎2021/7/22

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著 者:ジル・ボルト テイラー

出版社:新潮社

発行日:‎2012/3/28

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著 者:マーガレット・ミッチェル

出版社:岩波書店

発行日:‎2015/4/17

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著 者:ほし よりこ

出版社:マガジンハウス

発行日:‎2008/10/1

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著 者:赤川 次郎

出版社:KADOKAWA

発行日:‎2009/3/1

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著 者:山崎 亮

出版社:学芸出版社

発行日:‎2011/4/22

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著 者:新海 誠

出版社:KADOKAWA

発行日:‎2016/6/18

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著 者:遠藤 周作

出版社:新潮社

発行日:‎1981/10/19

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著 者:かみゆ歴史編集部

出版社:朝日新聞出版

発行日:‎2019/9/6

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著 者:レイチェル・カーソン

出版社:新潮社

発行日:‎1974/2/22

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著 者:東野 圭吾

出版社:KADOKAWA

発行日:‎2020/4/24

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著 者:夏目 漱石

出版社:KADOKAWA

発行日:‎‎2000/11/10

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著 者:瀬名秀明・太田成男

出版社:新潮社

発行日:‎2007/9/1

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著 者:デレック・ウォルコット

出版社:小沢書店

発行日:‎1994/7/1

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著 者:斎藤 陽彦

出版社:ファームプレス

発行日:‎2009/4/1

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著 者:ねこまき(ミューズワーク)

出版社:KADOKAWA

発行日:‎2015/8/7

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著 者:小西明日翔

出版社:講談社

発行日:‎2017/11/22

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出版社:​ディスカヴァー・トゥエンティワン

発行日:‎2016/12/23

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著 者:ハンス・ロスリング

出版社:日経BP

発行日:‎2019/1/11

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著 者:おときた駿

出版社:ディスカバー・トゥエンティワン

発行日:‎2016/6/16

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著 者:星野 有史

出版社:ポプラ社

発行日:‎1995/12/1

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著 者:金城 幸政

出版社:サンマーク出版

発行日:‎2015/6/4

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著 者:伊藤 計劃

出版社:ハヤカワ文庫

発行日:‎‎2010/2/10

​【書  評】

精一杯、この地球を楽しもう。

幼少期から神さまとの問答を繰り返してきた金城幸政さんの初の著書

その公演は絶大な人気で、

 

目次を見ても、一見怪しいスピリチュアルな印象を受ける

 

1章 神さまに愛される人は笑いとユーモアを持っている

2章 私たちが「神さま」なんだから

3章 人生は超シンプル!ただ思うだけで願いはかなう

4章 その悩みは自分を生きれば解決できる

5章 自愛があれば、必ず幸せになる

 

冒頭からスピリチュアル感が充溢しているので

受け付けられない方は厳しいかもしれないが

ただ読み進めていくと内容としては人生において肝要なことが満載で

「まさか、まじめに生きなきゃなんて思ってませんよね?」という

筆者の言葉の通り、まじめで一生懸命生きている方こそ読んでほしい一冊

 

引き寄せの法則や悩みの解決の仕方含めて

その真髄をさらっと伝えられていて

筆者の聡明さも感じ取れ、人生がとてもシンプルに読み取れる

 

自分は神と知りつつ、とことん人間を生きよう

さあ、やんちゃな旅路へ

 

 

蒼山継人

2021.12.03

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著 者:金城 幸政

出版社:サンマーク出版

発行日:2015/6/4

​【書  評】

世界について無知にならないために

公衆衛生学者、教育者としても有名な著者のハンス・ロスリングは述べる。

もしあなたが「世界はどんどん悪くなっている」と感じているとしたら、
それは事実に反している。
それどころか世界は確実に、どんどん良くなっている。と

タイトルにもあるファクトフルネス(FACTFULNESS)とは、
「データを基に世界を正しく見る習慣」を意味する。
多くの人は、「自分が知っている世界は事実とそうかけ離れたものではない」と信じこんでしまっている。

そんなことはないと思ってしまう読者に本書ではまず13の質問が用意されている
これはロスリング氏が考案した経済、人口、保健、環境に関する13問の3択問題である。
これまでに14カ国、述べ1万2000人が回答したところ、
正答率が最も高かったグローバルな気候変動の問題(正答率86%)を除いた12問について、
その正答数は平均でわずか2問だったのである。

つまり国際的に活躍しているエリートさえ、
ほとんど正解にたどり着くことができなかった質問である。

それは例えば、こんな問題。

質問1:現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を終了するでしょうか?

A:20%

B:40%

C:60%

質問2:世界でもっとも多くの人が住んでいるのはどこでしょう?

A:低所得国

B:中所得国

C:高所得国

続きの質問はぜひ本書で体験してほしいが
どうしてこのように世界についての間違った認識が蔓延しているのだろうか。
もちろんセンセーショナルなジャーナリズムや、脅しをかける活動家の責任もある。
しかしそれは微々たる影響でしかない。
その根本には、私たちの本能に根ざした思い込みがある。
その本能として以下のものを挙げている。

10のドラマチック本能
①分断本能 
②ネガティブ本能
③直線本能
④恐怖本能
⑤過大視本能
⑥パターン化本能
⑦宿命本能
⑧単純化本能
⑨犯人捜し本能
⑩焦り本能

そしてそのメカニズムと対処法についても提案されている。
そのうえでこれらの本能に抗うには、知識不足と戦い、
定期的に情報をアップデートすることが必要だと主張している。

つまりデータに基づいた真実の世界の姿を私たちに示し、
そうした思い込みを克服する習慣、すなわちファクトフルネスを身につけるように提唱しているのである。

世界を正確に捉えることはビジネスモデルやマーケティング対象を選定する上で大変重要なことなので
仕事においても生きてくることは間違いないが、作中でロスリング氏はこう述べている。

ほかの本と違い、この本にあるデータはあなたを癒してくれる。
この本から学べることは、あなたの心を穏やかにしてくれる。
世界はあなたが思うほどドラマチックではないからだ。
健康な食生活や定期的な運動を生活に取り入れるように、
この本で紹介する「ファクトフルネス」という習慣を毎日の生活に取り入れてほしい。

著者はこの本を書き終える前に亡くなってしまい、
家族との共著になったが、だからこそこの本の持つ意味やメッセージは深みをより感じられる。

もちろん著者らは「世界はなにもかもがうまくいっていて問題はひとつもない」と言っているわけではない。
実際に起きる可能性が高いリスクとして、
感染症の世界的な流行、金融危機、世界大戦、地球温暖化、そして極度の貧困の5つを挙げている。

ただ世界は確実に良くなってきている
まずその事実(データ)を正しく認識したうえで
さあ、どうするかと問いかけてくる。

あなたがいま見ている世界に対して穏やかな気持ちになれて
これまでの思い込みから脱して、世界に希望をもってまた一歩を踏み出せる名著である。

蒼山継人

2022.2.05

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著 者:ハンス・ロスリング

出版社:日経BP

発行日:2019/1/11

​【書  評】

すべてをつつみこむもの———

 

自身もキリスト教徒である遠藤周作。

彼の代表作品のひとつである『沈黙』

 

小説の舞台は江戸時代初期。

キリスト教禁止令が出された頃の長崎である。

 

主人公はポルトガルの宣教師ロドリゴ

 

物語はローマ教会の優秀な神父であったフェレイラ神父が

日本で転んだ(棄教した)という報告から始まる。

キリスト教迫害下にあっても不屈の精神で布教活動を続けていたロドリゴの師ともいうべきフェレイラ神父の棄教は、ローマ教会に強い衝撃を与えた。

報告を受けた、ポルトガル司祭ロドリゴはその謎を追うために日本へと旅立つ。

そんなロドリゴを待ち受けていたのは苛烈なキリシタン弾圧だった。

貧しくて明日を生きるのも懸命で、純真な農民たちが拷問を受けている。

神はなぜ沈黙しているのか…

 

遠藤周作自身は講演で本作品に関して下記のように述べている。

 

人間は〈強虫と弱虫〉の二種類に分けられるだろう、と私は思ってきました。

私は強くないし、信念を貫き通せる人間でもない。

信念というものを持ってみたいとは思うけれど、

周りから圧迫をうけるとすぐヘナヘナになる人間です。

つまり弱虫なのです。

強虫——そんな言葉はありませんが——というのは、どんな目に遭っても信念を貫き通せる。

小説というのは、やみくもに書くのではなく、自分の視点から書くものです。

そして『沈黙』は、〈迫害があっても信念を決して捨てない〉という強虫の視点ではなくて、

私のような弱虫の視点で書こうと決めました。

弱虫が強虫と同じように、人生を生きる意味があるのなら、

それはどういうことか——。これが『沈黙』の主題の一つでした。

 

卑怯で意志の弱い日本人キチジローはまさしく弱虫の象徴でもある。

 

神の沈黙を通して、日本人による宗教観が浮き彫りとなり

キリスト教の本質を問い掛けていく

信仰とは、神とはなにか、

その深淵たるテーマを考えさせられる名著である。

 

蒼山継人

2022.04.06

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著 者:遠藤 周作

出版社:新潮社

発行日:1981/10/19

​【書  評】

知らないということは、それ自体で罪なのだ———

 

名作の多い垣根涼介であるが本作品は
第6回大藪春彦賞、第25回吉川英治文学新人賞、第57回日本推理作家協会賞の三賞を受賞した
垣根涼介の代表作である。

1960年代、戦後日本国政府・外務省が推し進めた南米への移民政策がある。
これは様々な文献があり歴史的事実として語られてきた。

だがその正体は戦後の食糧難時代に端を発した口減らし政策だったのだ
未開のジャングルで多くの命が失われた、実際の史実をもとにしたハードボイルドストーリー。

“その地に着いた時から、地獄が始まった――。
1961年、日本政府の募集でブラジルに渡った衛藤。
だが入植地は密林で、移民らは病で次々と命を落とした。
絶望と貧困の長い放浪生活の末、身を立てた衛藤はかつての入植地に戻る。
そこには仲間の幼い息子、ケイが一人残されていた。
そして現代の東京。ケイと仲間たちは、政府の裏切りへの復讐計画を実行に移す! 
歴史の闇を暴く傑作小説。”

戦後の南米移民政策をベースに、
ハードボイルド・ミステリー・ヒューマンドラマと言ったあらゆる要素を含んだ本作品

南米出身の日系人がなぜ多いか。
その歴史的背景をリアリティ溢れる描写で表現し、多くの学びを得ることができる。

我々は何も知らなかった彼らのことを。
半世紀ほど前に多くの同胞を葬ったこの歴史を少なくとも私は知らなかった。
漫然といまを享受してしまっている自身を恥じてしまった。

この物語の序章はノンフィクションであり、
重い厳然たる歴史的事実を読み手の眼前に突き付けてくる迫力と、強い説得力がある

その子供たちが日本に復讐にやってきたときのセリフもまた考えさせられる。

“おれの国じゃあ、金のないやつはないなりだ。
服装も住む家もそうだ。それでけっこう笑って暮らしている。
だがこの国の連中ときたら、どいつもこいつも飾り立て、
少しでも自分をよく見せようと躍起になっている。
それがまあ、貧乏臭い”

棄民してまで手に入れた日本の現状を辛辣に言い表している。
復讐の内容もしかり、物語の背景は大変に残酷なのだが
痛快に読めるよう仕立てられていることがほんとうにすごい。

この種の悲劇は過去の歴史のそこかしこにあり、
現在も、そしてこの先も止むことはないのかもしれない。

ただ、いまをいきていくためにも
この本を読んで立ち返ってほしい。

 

蒼山継人

2022.06.11

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著 者:垣根 涼介

出版社:新潮社

発行日:2021/7/22

​【書  評】

起こりうる現代における罪と罰

はじめてこの小説に出逢ったときの衝撃を忘れられない。

ことばを愛する人にはたくさん出逢ってきたが

この作者はことばから愛された人なんだと嫉妬を覚えた

 

ことばをひとつの人格まで昇華させている

だから、「わたしのことば」のように、

所有格としてことばを所有しているのではなく、

「わたしとことば」なのだ。

ことばと遊んでいる。その遊び方がわたしとは全く違うけれど

ことばの力を最大限引き出している。

ことばへの敬意と愛に感銘を覚えた。

 

随所に読みごたえのあるテーマや表現、哲学が散りばめられている。

ウクライナの情勢を鑑みるとまさしくこれからの未来さえも予見しているかのようだ。

 

あらすじとしては以下のとおりである。

 

9.11以降を舞台としており、

テロとの戦いのなかで先進諸国は徹底的な管理体制に移行した。

その一方で後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。

 

その背景として虐殺を扇動しているとされるアメリカ人ジョン・ポールの存在が浮かび上がる。

 

彼の目的はいったい何なのか?

 

アメリカ情報軍で特殊任務に就いていたクラヴィスはジョンの暗殺指令を受け、彼を追い続ける。

 

ようやくジョンと対面することができたクラヴィスは

 

「人間には虐殺を司る器官が存在し、器官を活性化させる“虐殺文法”が存在する」ことを聞かされる。

 

はたしてその器官とは、虐殺の文法とは…

 

まだ読まれてない方は、まずは手に取って

そのあとはハーモニーもぜひ。

 

 

蒼山継人

2022.03.21

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著 者:伊藤 計劃

出版社:ハヤカワ文庫

発行日:2010/2/10

​【書  評】

沈黙する自然———

 

海洋生物学者レイチェル・カーソンの代表作。

誰よりも自然を愛し、産業化の波が加速していた時代に、いち早く環境保護を唱えた女性エコロジストの第一人者である。

 

表紙カバーには、印象的な黄色い花の写真が採用されています(2001年版は「ゴゼンタチバナ」)。

手にした時ふと思ったが、この花の名前が一向にわからない。カタバミ??かなと思いながら調べてみると、「キバナノコマノツメ(黄花の駒の爪)」というスミレ科の花に辿り着いた。葉の形が馬の蹄に似ていることからその名が付けられており、現在でも絶滅が危惧されている花のようだ。

ちなみに、本書の少し前に書かれた、

『センス・オブ・ワンダー(2002年版)』の表紙カバーは「イチヤクソウ」です。

 

 

本書のテーマは『環境保護』である。

この本の冒頭は、誰もが息をひそめるような恐ろしい描写から始まります———『自然は、沈黙した。鳥たちは、どこへ行ってしまったのか。』

鳥は「自然の番人」なのである。そこから、化学薬品(DDT)の乱用が自然界にもたらす甚大な影響について、当時の科学的根拠を基に、繰り返し繰り返し冷静に事実を積み重ねていきます。

 

60年前に書かれていますから、現在ではDDT使用における自然環境への良し悪しについては解釈を異にするケースもあるかと思いますが、女史は一貫して、生物学的コントロールの大切さと、次世代へ美しい自然を残すために、「深い洞察力」を持って欲しいと主張しています。

 

ベストセラーとして、世界中に環境保護の先鞭をつけた名著です。世界を変えた一冊ともいえます。

環境や多様性という概念がまだ定着していない時代に、複雑であるがゆえに自然界の均衡(バランス)を維持することの難しさや、世界中に化学薬品によって苦しむ人々やたくさんの動物たちがいるという事実について、目を背けることなく書き綴っています。

 

また、本書のいたる所に愛語が散りばめられており、女史の自然への愛や畏敬の念が垣間見れるはずです。翻訳した青樹簗一さんも見事である。

​是非一度手にとって頂きたいと思う。

ふくろう

2021.12.06

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著 者:レイチェル・カーソン

出版社:新潮社

発行日:1974/2/22

​【書  評】

移り変わるもの、変わらぬこと———

 

むしろ日本人でこの小説を知らないひとはいないのではないかと思われるほど、日本文学の代表作品ともいえる夏目漱石の小説『こころ』

 

たしか中学生の頃に読書感想文として書いた記憶がある。

きっと多くの皆様も同様に書いてきたのではないだろうか。

 

その当時からわたしは『こころ』が苦手だった。

 

登場人物の心理描写がわかりにくいにも関わらず、あまりにも名著であることが顕示されているからなによりも否定がしにくい。肯定的に読むことが押し付けられているような圧迫感があるし、かつ読んで感動、感心ができなかったらセンスがないと思われそうだし、中学生のころ憂鬱になりながら読んだ記憶が懐かしい。

 

だからいまだに苦手意識はある。

小説家の世界でも「すでにそれは漱石が書いている」という戒めがあるほど、夏目漱石が描いたテーマやメッセージは普遍性と不変性をもっているため、今回の書評にもあえて書く意味があるものにしなければと姿勢が正される。

 

いまさらながらかもしれないが構成は3部構成となっている。

 

・先生と私

・両親と私

・先生と遺書

 

この物語の主人公は私ではなく、先生である。

 

その先生の変容を描いているわけだが分けて考えると「お金」、「恋愛」、「死」が彼を変えている。

そしてその葛藤の変遷が遺書での告白で描かれている。

 

上記のそれぞれがそもそもビッグテーマなので、ひとつを題材として挙げ、深く検証していくこともできるが、まず背景として明治天皇の崩御と乃木希典の殉死が大切なテーマとなっている。

西南戦争を経て、死に場所を探していた乃木希典に自身を投影させた先生。

明治から大正への移り変わり、封建的道徳(家族主義)から西洋的個人主義になっていった背景が前提としてある。

 

その生きにくさを読み取ることができる。

エーリッヒフロムが『自由からの逃走』において

「近代人は自由を得る代わりに孤独になった」と考えを述べているが、まさしく『こころ』はその小説版として描かれているともいえる。

 

共同体から脱却し、役割・機能の制限もなく、自由への萌芽が生まれてきた中で「個」としてどうあるか、自分らしさ、自己としての選択をしていったなかで、皮肉にも小説の中でその選択をした人物はみな自死していることも一考すべきであろう。

 

今回は近代化にむけて生まれた自由と孤独の側面から訴求してみたが、こころとはそのものが常でなく、変化し続けるものである。だからこそ、様々な角度から読み解くことができ、読む人に合わせて伝わるメッセージもまた変わる。

 

名著が名著たるゆえんかもしれない。

いまあなたにはどう映るのか。

また手に取ってみてほしい。

 

知人が前に言っていたが、

「こころの最も面白いところは現代人が理解できないことだ」と。金言である。

まさしく時が流れたことを強烈に示している。

その移り変わりもまた「こころ」ゆえで面白い。

 

蒼山継人

2022.04.01

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著 者:夏目 漱石

出版社:KADOKAWA

発行日:2000/11/10

​【書  評】

言葉が世界を変える———

 

著者の原田マハの作品は素晴らしいものが多いが
この作品は彼女の本を読んだことがあるからすると作風がガラッと違うため
驚かれることと同時にとはいえ彼女の紡ぐ言葉たちの温かさに癒されることだろう。

あらすじは以下のとおりである。

二ノ宮こと葉は、製菓会社の総務部に勤める普通のOL。
他人の結婚式に出るたびに「人並みな幸せが、この先自分に訪れることがあるのだろうか」と、
気が滅入る27歳だ。けれど、今日は気が滅入るどころの話じゃない。
なんと密かに片思いしていた幼なじみ・今川厚志の結婚披露宴だった。
ところが、そこですばらしいスピーチに出会い、思わず感動し、涙する。
伝説のスピーチライター・久遠久美の祝辞だった。
衝撃を受けたこと葉は、久美に弟子入りすることになるが…

タイトルと出だし、あらすじからいって、結婚式のスピーチに終始するOLのお話かと思ったら、
全く見事にいい意味で裏切られる

言葉が持つ力を最大限感じさせてくれる。

ここに作中にもある『スピーチの極意 十箇条』を引用する

1 スピーチの目ざすところを明確にすること
2 エピソード、具体例を盛り込んだ原稿を作り、全文暗記すること
3 力を抜き、心静かに平常心で望むこと
4 タイムキーパーを立てること
5 トップバッターとして登場するのは極力避けること
6 聴衆が静かになるのを待って始めること
7 しっかりと前を向き、右左を向いて、会場全体を見渡しながら語りかけること
8 言葉はゆっくり、声は腹から出すこと
9 導入部は静かに、徐々に盛り上げ、感動的にしめくくること
10 最後まで、決して泣かないこと。

作中にも深く染み渡ることばが多いが、下記の言葉を贈って締めたい。

“困難に向かい合った時、もうだめだと思った時想像してみるといい。
 3時間後の君涙がとまっている。24時間後の君涙は乾いている。
 2日後の君顔を上げている。3日後の君歩きだしている。”

読み終わったあと、あなたはきっと言葉を惚れ直しているだろう。

 

蒼山継人

2022.05.20

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著 者:原田 マハ

出版社:徳間書店

発行日:2013/06/07