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Kapitel1-2-6

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蒼山 継人

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​ふくろう​​

​2021/10/01~2022/02/28
「竜馬がゆく」

「竜馬がゆく」

著 者:司馬 遼太郎

出版社:文藝春秋

「青年社長」

「青年社長」

著 者:高杉 良

出版社:角川文庫

「凡事徹底」

「凡事徹底」

著 者:鍵山 秀三郎

出版社:活学叢書

「上杉鷹山」

「上杉鷹山」

著 者:童門  冬二

出版社:集英社文庫

「13歳からのアート思考」

「13歳からのアート思考」

著 者: 末永 幸歩

出版社:ダイヤモンド社

「信長の原理」

「信長の原理」

著 者:垣根 涼介

出版社:角川文庫

「きりぎりす」

「きりぎりす」

著 者:太宰 治

出版社:新潮文庫

「呪いの時代」

「呪いの時代」

著 者: 内田 樹

出版社:新潮文庫

「邪悪なものの鎮め方」

「邪悪なものの鎮め方」

著 者: 内田 樹

出版社:木星叢書

「アルケミスト」

「アルケミスト」

著 者:パウロ・コエーリョ

出版社:角川文庫

「虐殺器官」

「虐殺器官」

著 者:伊藤 計劃

出版社:ハヤカワ文庫

「テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス」

「テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス」

著 者:カール・B・フレイ

出版社:日経BP

「アンダーグラウンド」

「アンダーグラウンド」

著 者:村上 春樹

出版社:講談社

「金持ち列車 貧乏列車」

「金持ち列車 貧乏列車」

著 者:末岡 よしのり

出版社:幻冬舎

「君の腎臓をたべたい」

「君の腎臓をたべたい」

著 者:住野 よる

出版社:双葉社

『GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代』

『GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代』

著 者:アダム・グラントその他

出版社:三笠書房

「西の魔女が死んだ」

「西の魔女が死んだ」

著 者:梨木 香歩

出版社:新潮社

「クレイジーケンの夜のエアポケット」

「クレイジーケンの夜のエアポケット」

著 者:横山 剣

出版社:ぴあ

「少女には向かない職業」

「少女には向かない職業」

著 者:桜庭 一樹

出版社:東京創元社

「死ぬこと以外かすり傷」

「死ぬこと以外かすり傷」

著 者:箕輪 厚介

出版社:マガジンハウス

「蜜蜂と遠雷」

「蜜蜂と遠雷」

著 者:恩田 陸

出版社:幻冬舎

「世界から猫が消えたなら」

「世界から猫が消えたなら」

著 者:川村 元気

出版社:小学館

「プロフェッショナルマネジャー」

「プロフェッショナルマネジャー」

著 者:ハロルド・ジェニーン

出版社:ダイヤモンド社

「ジョコビッチの生まれ変わる食事」

「ジョコビッチの生まれ変わる食事」

著 者:ノバク・ジョコビッチ

出版社:扶桑社

「あなたのなかのやんちゃな神さまとつきあう法」

「あなたのなかのやんちゃな神さまとつきあう法」

著 者:金城 幸政

出版社:サンマーク出版

「夢をくれた盲導犬」

「夢をくれた盲導犬」

著 者:星野 有史

出版社:ポプラ社

「ギャル男でもわかる政治の話』

「ギャル男でもわかる政治の話』

著 者:おときた駿

出版社:ディスカバー・トゥエンティワン

「FACT FULNESS」

「FACT FULNESS」

著 者:ハンス・ロスリング

出版社:日経BP

「失敗の科学」

「失敗の科学」

著 者:マシュー・サイド

出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン

「狼たちへの伝言」

「狼たちへの伝言」

著 者:落合 信彦

出版社:集英社文庫

「夢をかなえるゾウ」

「夢をかなえるゾウ」

著 者:水野 敬也

出版社:文響社

「ザ・ゴール」

「ザ・ゴール」

著 者:エリヤフ・ゴールドラット

出版社:ダイヤモンド社

「冬を待つ城」

「冬を待つ城」

著 者:安倍 龍太郎

出版社:新潮文庫

「僕は君たちに武器を配りたい」

「僕は君たちに武器を配りたい」

著 者:瀧本 哲史

出版社:講談社BOOK倶楽部

「なるほどデザイン」

「なるほどデザイン」

著 者:筒井 美希

出版社:週刊文春

「ロング・グッドバイ」

「ロング・グッドバイ」

著 者: 村上 春樹

出版社:ハヤカワ・ミステリ文庫

「最終講義」

「最終講義」

著 者: 内田 樹

出版社:文春文庫

『伝説の株必勝法「W.D.ギャンの28鉄則」』

『伝説の株必勝法「W.D.ギャンの28鉄則」』

著 者: 林 康史

出版社:小学館文庫

「神を見た犬」

「神を見た犬」

著 者:ブッツァーティ

出版社:光文社古典新訳文庫

「THE HUNGRY SPIRIT これからの生き方と働き方」

「THE HUNGRY SPIRIT これからの生き方と働き方」

著 者:チャールズ・ハンディ

出版社: かんき出版

「流転の海」

「流転の海」

著 者:宮本 輝

出版社:新潮社

「嫌われる勇気」

「嫌われる勇気」

著 者:岸見 一郎、古賀 史健

出版社:ダイヤモンド社

「成功はゴミ箱の中に 億万長者のノート」

「成功はゴミ箱の中に 億万長者のノート」

著 者:レイ・A.クロックその他

出版社:プレジデント社

「東大卒、農家の右腕になる。」

「東大卒、農家の右腕になる。」

著 者:佐川 友彦

出版社:ダイヤモンド社

「身体の聲」

「身体の聲」

著 者:光岡 英稔

出版社:PHP研究所

「学習する組織」

「学習する組織」

著 者:ピーター M センゲ

出版社:英治出版

「20世紀イギリス短篇編(下)」

「20世紀イギリス短篇編(下)」

著 者:小野寺 健

出版社:岩波書店

「SYNC なぜ自然はシンクロしたがるのか」

「SYNC なぜ自然はシンクロしたがるのか」

著 者:スティーヴン・ストロガッツ

出版社:早川書房

「龍の神様と出会うたったひとつの方法」

「龍の神様と出会うたったひとつの方法」

著 者:羽賀 ヒカル

出版社:SBクリエイティブ

「こころ」

「こころ」

著 者:夏目 漱石

出版社:KADOKAWA

「下町ロケット」

「下町ロケット」

著 者:池井戸 潤

出版社:小学館

「ザッポス伝説」

「ザッポス伝説」

著 者:トニー・シェイ

出版社:ダイヤモンド社

「ナミヤ雑貨店の奇蹟」

「ナミヤ雑貨店の奇蹟」

著 者:東野 圭吾

出版社:KADOKAWA

「沈黙の春」

「沈黙の春」

著 者:レイチェル・カーソン

出版社:新潮社

「世界の国々」

「世界の国々」

著 者:かみゆ歴史編集部

出版社:朝日新聞出版

「沈黙」

「沈黙」

著 者:遠藤周作

出版社:新潮社

「君の名は。」

「君の名は。」

著 者:新海 誠

出版社:KADOKAWA

「コミュニティデザイン」

「コミュニティデザイン」

著 者:山崎 亮

出版社:学芸出版社

​[Bokrecension] Text

アートは感性ではなく「論理」

私自身においてはこれがこの本におけるもっとも大きな発見でした
幼少期から絵は苦手で、美術というのは
感覚的なものでそういった分野に優れている人たちで
成り立っているものだと捉えていました

マティス・ピカソ・カンディンスキー
デュシャン・ポロック・ウォーホルと
現代までの偉大な芸術家を辿っていき、
点のように位置づけられていたものが一つの線となります

まさに目から鱗が落ちる内容で
13歳からと記載されているように
その平易な言葉で構成されているものの
内容は大変充実しております

そもそもなぜ13歳なのか?

ある調査によると小学校から中学校へ進むタイミングで、
「美術」が最も人気を無くす教科だそうです。

理由は美術に「正解」を求めた教育を施しているからです。

だからこそ、よくわからない「美術」に強く苦手意識を抱くことになってしまうのです。

なので本来我々が持ちえたアート思考を
もう一度取り戻せる機会を与えてくれるのがこちらの本です。

正解が先にあるのではなく、自身が正解を創造する現代における必読書です。


 

蒼山継人

2021.10.16

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​著 者:末永 幸歩

出版社:ダイヤモンド社

発行日:2020/2/20

​[Bokrecension] Text

株式投資は国策銘柄を選ぶ
 

株式投資における「正しい質問」を考える———

 

今年3月にETF買い付け方針の変更を発表した日銀、日経平均が大きく下落した時だけ買い支えるという。

9月には久しぶりの買い付けがあったが、以前のような買い支えは見られず、賢明な投資家ならば今後の将来予測が必要な時期ではないだろうか。

 

日銀はインフレにすることを目的に金融緩和を続けてきたわけだが、売り抜ける算段を講じ、その役割を終える時期が来ているのかもしれない———

アベノミクスで株価は上昇、企業の内部留保がなければ賃金は上がり、好循環が生まれデフレ脱却もできていたはずだが、企業経営者は馬鹿ではない。実態のない株価は日銀の買い支えが原因であると誰もが正しく理解していた。だが、それでも株価が上がったという事実は動かない。投資家にとって重要なことはこの一点に尽きる。

 

疑いようがなく、正しい答えを作っているのは国や日銀の方針である。資金流入が見込める国策の流れに乗ることが利益を最大化する。現状なら「日本製鉄」だろう、頑張って貰いたいと思う。

 

コロナにより、ワクチンによって個人の自由が制限され、共産化の流れが世界中で起きている。暫くこの流れは止まらないだろう。しかし、だからこそこれから日経平均は令和バブルを迎える———

 

矛盾しているように聞こえるかもしれないが、コロナ復興で国内に資金が循環し、国は政策でそれを後押しする形となる。また、売り抜ける為に日銀は無理やりにでも株価を吊り上げなければならない。提灯を灯せば経験の浅い個人投資家が飛びつく。どれだけの枚数を日銀が保有しているのかを考えれば答えは容易に判るだろう。

 

買ってくれる人がいなければ売れないのだから———その日は突然やってくる。

 

投資家の視点で考えるなら、国や日銀の方針に逆らってはいけない。彼らが潤っている間は過度な納税負担がないのと同じで、貧しくなれば国民に負担を強いるのはいつの時代も疑いようのない事実である。潤っているぐらいが国民にとっては丁度良いのだ。

 

インフレになれば日銀はデフレ政策にシフトする、株式投資など即刻止めるべきだ。NISAの斡旋や市場時間の延長を考えれば、売り抜けるために囲い込みをしているのがわかるのではないだろうか。MMTも叫ばれている、これは否定できるものではないが、災害や地政学リスクの前ではこれも理論が破綻する。デフォルトは絶対にないだと?馬鹿なことを言ってはいけない。本物のパンデミックはこれからなのだから。

利益を最大化したいなら、上昇トレンドの国策貸借銘柄を現物保有しておくこと。地合いの悪い時には、日計りで同銘柄を売り建てることができればヘッジにもなる。両建てを駆使することで機会損失を減らし、中長期で利益を最大化していく。これが現在最も効果的なトレード方法であると思われる。発達したアルゴリズムの前では、経験に学ぶ個人投資家など勝てる筈もない。

ギャンの28鉄則は、これからの難しい相場局面を生き残る為に必ずや投資家を守ってくれることだろう。

歴史から学んで欲しいと思う。

 

 

ふくろう

2021.10.18

伝説の株必勝法.jpg

​著 者:林 康史

出版社:小学館文庫

発行日:2006/7/6

​[Bokrecension] Text

全員に利する資本主義の在り方

著者チャールズ・ハンディは、資本主義が多くの成果をもたらしたのは事実としながらも、行き過ぎた効率主義や利己主義が生み出す閉鎖的な社会と市場に対する問題を指摘しています。

 

本来の人生の目的を見出すことを哲学として、自己探求心と顧客を最優先する考え方やそのシステム造りの重要性を説き、この行き詰った状況を変えるのは、日本をはじめとする東洋諸国が行動を起こすことであると大きな期待を寄せています。

 

▶資本主義の歪み

▶正当な利己性の主張

▶サンセポルクロの「キリストの復活」

▶長期的成長には適応効率

▶ノーベル賞作家デレック・ウォルコットを引用した  

 白い小石の話

▶開かれた問題とそれに取り組む企業の紹介

▶雇用ではなく顧客を探すこと、またその能力を高め

 る

▶自信が持てない若者には手本となりうる大人と知り

 合う機会が不足している

▶無形資産の属性                               

                    など

 

本書が刊行されたのは1997年である———

著者の見識の高さや調査力、分析力、人間性には感服いたします。引き寄せなのかシンクロと呼ぶべきなのか、私の中にずっとあったモヤモヤが本書との出会いを生んでくれたのかもしれません。

 

著書の中にある、「質問の正解を知っていることと、状況を変えられることは同じではない。」というメッセージは、若者をはじめ、現代を生きる私たちが最も直面している問題なのではないでしょうか。どう対処すべきなのかという「開かれた問題」に対し、その解決策や取り組みについて多くの事例を紹介しています。

 

著者が語る、

争わせようとするのではなく、結び付けようとする形が必要なのではないか———

企業で働く社員を市民と呼び、正当な責任の下で企業も個人も無形資産で繋がっていく。

これからの私たちには、そのような意識改革、学びの機会を作ることが求められており、今まさに行動を起こす時なのではないでしょうか。その最適な手段を、著者は本書で教えてくれています。

 

最後に少し話が逸れますが、

著者の資本主義に対する考え方や人生観、哲学については、モーガン・フリーマン主演の映画「最高の人生の見つけ方」を思い出させます。余命宣告されるという共通点以外は全く異なる二人でしたが、とあるコーヒー豆の話題が二人を強く結びつけていきます。貧しくも知識人であり、エベレストを愛するひとりの男性と、資本主義の象徴ともいえるピラミッド(比喩として)を愛したひとりの男性。いがみ合ったり、すれ違ったりしながらも、人は関わりあいのなかでしか幸せや喜びは感じられないという事実に気付き、映画の最後にはお互いへの感謝を述べています。

 

人は、生まれ持った資質を覆すことができる———変わるなら、いまだ。

そう述べて、筆者は本書を締め括っています。これほどの知見に触れる機会は、そうあるものではないでしょう。ぜひ一度、本書を手に取っていただきたいと思います。

 

 

ふくろう

2021.10.20

これからの生き方.jpg

​著 者:チャールズ・ハンディ

出版社:かんき出版

発行日:2021/3/3

​[Bokrecension] Text

場当たりではなく、意志を持って「行動」する

シリーズにもなっていて
「自己啓発小説」という新しいジャンルの走りにもなった本なので
ご存じの方も多いかと思います

お金持ちになりたい
成功したい
有名になりたい
このままでは終わりたくないと思っている平凡なサラリーマン(主人公)のもとに
ガネーシャというヒンドゥー教におけるシヴァ神の長男でゾウの頭が特徴的な豊穣や英知、商業の神が関西弁で成功法則をストーリー形式でコミカルに主人公に伝えていく形になっています

私自身、いわゆる自己啓発関連にはあまり触れてこなかったのですがなぜこれほど売れているのかという観点から読み進めるとその理由がわかってきます。

歴史上の有名人のエピソードを交えながら成功法則を教えてもらえるのですがその成功法則はある意味陳腐化しているというかありふれていて、これならできそう!と思えるものになっています

ある意味、自身が立ち返ったときにこの内容ができているか一種のリトマス紙、試金石のように図ってみても面白いと思います

ただ、実際やらない人間が多い
どうすればうまくいくのか、みんなわかっていても
「面倒」だからしない。

終盤、ハッとさせられると思います。

成功したいなら行動する
その小さいけど偉大な一歩を踏み出す勇気をくれる本です

蒼山継人

2021.10.18

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著 者:水野 敬也

出版社:文響社

発行日:2007/8/29

​[Bokrecension] Text

陳腐化するな、スペシャリティになれ。

 

いまは亡き瀧本哲史さんの名著です。

学生時代にお世話になった方も多いのではないでしょうか

 

大学生はもちろん

これからの社会を生き抜く20代には特におすすめです。

 

筆者も冒頭に述べています。

 

”本書は、これから社会に旅立つ、

あるいは旅立ったばかりの若者が、

非常で残酷な日本社会を生き抜くための、

「ゲリラ戦」のすすめである。”

 

資本主義においてコモディティ化がますます加速していく昨今、

これからの時代においてどう生きるか(生き残れるか)を

明瞭に示してくれます。

 

そのメッセージとして要約すると

「人材のコモディティ化を避けてスペシャリティになれ」ということになるのですが

スペシャリティとして6つのタイプを挙げており

生き残る4つのタイプと生き残れない2つのタイプに分類されます。

 

生き残れない

・商品を遠くに運んで売ることが出来る人(トレーダ

 ー)

・自分の専門性を高めて、高いスキルによって仕事を 

 する人(エキスパート)

 

生き残る

・商品に付加価値をつけて、市場ニーズを創造して売

 ることが出来る人(マーケター)

・これまでにない新しい仕組みをイノベーションでき

 る人(イノベーター)

・ある種のクレイジーさを発揮し、リーダーとして行

 動できる人(リーダー)

・投資家として市場に参加している人(インベスタ

 ー)

 

またそのうえで特に投資家的な発想を学ぶことがもっとも重要だと述べられています。

なぜなら、資本主義社会ではすべての人間は、

投資家になるか、投資家に雇われるか、どちらかの道を選ばざるを得ないからです。

 

異論もあるかもしれませんが今から10年以上前に示していることに畏敬の念を覚えます。

 

筆者は終盤こう述べています

 

”リーマンショック以降の日本では

資本主義そのものが「悪」であるかのように見なされる風潮がある。

しかし資本主義それ自体は悪でも善でもなく、ただの社会システムにすぎない。

重要なのはそのシステムの中で生きる我々一人ひとりが、

どれだけ自分の人生をより意味のあるものにしていくかだ。”

 

このシステムの中でどう生きていくか(武器)を

示してくれる(与えてくれる)名著です。

 

蒼山継人

2021.10.21

「僕は君たちに武器を配りたい」.jpg

著 者:瀧本 哲史

出版社:講談社

発行日:2011/09/22

​[Bokrecension] Text

音楽が駆けていく。さあ祝祭が始まる。

第156回「直木賞」と2017年「本屋大賞」の史上初のW受賞作品

 

ピアノとクラシックを扱う小説は多くなってきているが

これほどまで「聴こえる」小説はそうないであろう。

 

恩田陸の筆力とここに至るまでの背景には脱帽しかない。

 

物語としては3年に一度開催される浜コン(浜松国際ピアノコンクール)をモデルにした「芳ヶ江国際ピアノコンクール」を舞台に、出場者四人を主役にした群像劇である。

 

登場順に紹介をすると

風間塵(じん)、十六歳。

養蜂家の父のもと、各地を転々としてきたため

なんと自宅にピアノを持たないにも関わらず、

クラシック界の権威であるユウジ・フォン=ホフマンに5歳から師事しており、その推薦状を携えてくる。

 

栄伝亜夜、二十歳。

かつて天才少女として数々のコンクールを制したエリート。

ただ13歳のときに指導者である母親を亡くし、深い挫折を経験。世界のあらゆるものに音楽を聴きとってきた彼女の才能がまた開花していく。

 

高島明石、二十八歳(同コンペ上限年齢)

楽器店に勤める一児の父のサラリーマン音楽家。

仕事の合間を縫って練習に励むが、他の出場者との練習量の差は歴然。ただ、いまの自分だからこそ表現できる「生活者の音楽」を目指す。

 

マサル・カルロス・レヴィ・アナトール、十九歳。

少年期は日本でも暮らしており、名門ジュリアード音楽院に通う優等生。今大会の優勝候補。

彼の演奏技術と音楽性は他の追随を許さない。

 

この四人の第一次、二次、三次、本選と2週間にわたるコンクールをすべて描き切っている。

 

曲はバッハの平均律に始まり、

モーツァルト、リスト、ショパン、ブラームスなど

また「春と修羅」という書き下ろしの現代曲もでてくるが、

この世に存在しないこの架空の曲でさえ、四人それぞれからの解釈で聴こえてくるから驚愕する。

 

序盤に目にする風間塵の推薦状にはこう書かれている

〈皆さんに、カザマ・ジンをお贈りする。〉

〈彼を本物の『ギフト』とするか、それとも『災厄』にしてしまうのかは、皆さん、いや、我々にかかっている。〉

 

このコンクールに塵がもたらすものは…

 

構想に12年、執筆に7年を掛けたという恩田陸の長編小説『蜜蜂と遠雷』

 

「狭いところに閉じこめられている音楽を広いところに連れ出す」という塵の言葉は物語にも通底するが、音楽そのものへのギフトである。

蒼山継人

2021.11.20

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著 者:恩田陸

出版社:幻冬舎

発行日:2019/4/10​

​[Bokrecension] Text

沈黙する自然———

 

海洋生物学者レイチェル・カーソンの代表作。

誰よりも自然を愛し、産業化の波が加速していた時代に、いち早く環境保護を唱えた女性エコロジストの第一人者である。

 

表紙カバーには、印象的な黄色い花の写真が採用されています(2001年版は「ゴゼンタチバナ」)。

手にした時ふと思ったが、この花の名前が一向にわからない。カタバミ??かなと思いながら調べてみると、「キバナノコマノツメ(黄花の駒の爪)」というスミレ科の花に辿り着いた。葉の形が馬の蹄に似ていることからその名が付けられており、現在でも絶滅が危惧されている花のようだ。

ちなみに、本書の少し前に書かれた、

『センス・オブ・ワンダー(2002年版)』の表紙カバーは「イチヤクソウ」です。

 

 

本書のテーマは『環境保護』である。

この本の冒頭は、誰もが息をひそめるような恐ろしい描写から始まります———『自然は、沈黙した。鳥たちは、どこへ行ってしまったのか。』

鳥は「自然の番人」なのである。そこから、化学薬品(DDT)の乱用が自然界にもたらす甚大な影響について、当時の科学的根拠を基に、繰り返し繰り返し冷静に事実を積み重ねていきます。

 

60年前に書かれていますから、現在ではDDT使用における自然環境への良し悪しについては解釈を異にするケースもあるかと思いますが、女史は一貫して、生物学的コントロールの大切さと、次世代へ美しい自然を残すために、「深い洞察力」を持って欲しいと主張しています。

 

ベストセラーとして、世界中に環境保護の先鞭をつけた名著です。世界を変えた一冊ともいえます。

環境や多様性という概念がまだ定着していない時代に、複雑であるがゆえに自然界の均衡(バランス)を維持することの難しさや、世界中に化学薬品によって苦しむ人々やたくさんの動物たちがいるという事実について、目を背けることなく書き綴っています。

 

また、本書のいたる所に愛語が散りばめられており、女史の自然への愛や畏敬の念が垣間見れるはずです。翻訳した青樹簗一さんも見事である。

​是非一度手にとって頂きたいと思う。

ふくろう

2021.12.06

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著 者:レイチェル・カーソン

出版社:新潮社

発行日:1974/2/22

​[Bokrecension] Text

原理からひも解く信長の軌跡

 

2013年の『光秀の定理』から始まった歴史小説の今回は三作品目にあたる。

 

いままで歴史小説で幾度となく描かれてきた信長の生き方を

これまでにない斬新な視点から紡ぎだされた作品である

 

ざっくり伝えると

織田信長の幼少期から最期を迎える本能寺の変まで、

信長の思考や心情など、いわゆる信長を形成している

「原理」にフォーカスしてストーリーが展開していく

新感覚の歴史小説ともいえる

 

その原理とはなにか?

母親の愛情に恵まれず、幼い頃からひとりで遊んでいた吉法師(信長)は蟻の行列を飽きずに見続ける場面が描写されている。

その中で吉法師はある問いを抱く

「なぜ懸命に働くのは2割しかいないのだろう?」と

残りの6割は全体の流れに沿う形で働き、後の2割は怠け者になるということを何度確認しても変わることがなかった。

やがて織田信長となった少年は、人間にもこの法則が該当することに気づく

 

いまでは有名なパレートの法則、働きアリの法則として有名であるが、その法則を題材としてなぜそうなってしまうのか?

では本当に優秀なものだけにしたらどうなるのか

信長はそんな法則にもとづき、効率をひたすら追い、理想の組織を求めていく

 

自分をトップとして、配下のすべてが汗をかく、懸命に働く組織。いうなれば究極の成果主義である

 

ただ、どれだけ目指してもその原理が浮き彫りとなる

 

“この世に神は無くとも、神に近いこの世を支配する何かの原理のようなものが存在するのか。それが、これらの事象を発生させているのか”とたどり着く

 

基本信長の一人称視点であるが、配下からの視点や考えも含まれており、そこに働きアリの法則を取り入れたことによって

これまでにない独自の戦国小説として完成している。

 

効率の時代ともいえる現代へのアンチテーゼともいえる本作品。終幕での「信長の原理」の真実をあなたはどう読み解くだろうか。ぜひ読んで語らいましょう。

蒼山継人

2022.1.24

「信長の原理」.jpg

著 者:垣根 涼介

出版社:角川文庫

発行日:2020/9/24

​[Bokrecension] Text

世界について無知にならないために

公衆衛生学者、教育者としても有名な著者のハンス・ロスリングは述べる。

もしあなたが「世界はどんどん悪くなっている」と感じているとしたら、
それは事実に反している。
それどころか世界は確実に、どんどん良くなっている。と

タイトルにもあるファクトフルネス(FACTFULNESS)とは、
「データを基に世界を正しく見る習慣」を意味する。
多くの人は、「自分が知っている世界は事実とそうかけ離れたものではない」と信じこんでしまっている。

そんなことはないと思ってしまう読者に本書ではまず13の質問が用意されている
これはロスリング氏が考案した経済、人口、保健、環境に関する13問の3択問題である。
これまでに14カ国、述べ1万2000人が回答したところ、
正答率が最も高かったグローバルな気候変動の問題(正答率86%)を除いた12問について、
その正答数は平均でわずか2問だったのである。

つまり国際的に活躍しているエリートさえ、
ほとんど正解にたどり着くことができなかった質問である。

それは例えば、こんな問題。

質問1:現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を終了するでしょうか?

A:20%

B:40%

C:60%

質問2:世界でもっとも多くの人が住んでいるのはどこでしょう?

A:低所得国

B:中所得国

C:高所得国

続きの質問はぜひ本書で体験してほしいが
どうしてこのように世界についての間違った認識が蔓延しているのだろうか。
もちろんセンセーショナルなジャーナリズムや、脅しをかける活動家の責任もある。
しかしそれは微々たる影響でしかない。
その根本には、私たちの本能に根ざした思い込みがある。
その本能として以下のものを挙げている。

10のドラマチック本能
①分断本能 
②ネガティブ本能
③直線本能
④恐怖本能
⑤過大視本能
⑥パターン化本能
⑦宿命本能
⑧単純化本能
⑨犯人捜し本能
⑩焦り本能

そしてそのメカニズムと対処法についても提案されている。
そのうえでこれらの本能に抗うには、知識不足と戦い、
定期的に情報をアップデートすることが必要だと主張している。

つまりデータに基づいた真実の世界の姿を私たちに示し、
そうした思い込みを克服する習慣、すなわちファクトフルネスを身につけるように提唱しているのである。

世界を正確に捉えることはビジネスモデルやマーケティング対象を選定する上で大変重要なことなので
仕事においても生きてくることは間違いないが、作中でロスリング氏はこう述べている。

ほかの本と違い、この本にあるデータはあなたを癒してくれる。
この本から学べることは、あなたの心を穏やかにしてくれる。
世界はあなたが思うほどドラマチックではないからだ。
健康な食生活や定期的な運動を生活に取り入れるように、
この本で紹介する「ファクトフルネス」という習慣を毎日の生活に取り入れてほしい。

著者はこの本を書き終える前に亡くなってしまい、
家族との共著になったが、だからこそこの本の持つ意味やメッセージは深みをより感じられる。

もちろん著者らは「世界はなにもかもがうまくいっていて問題はひとつもない」と言っているわけではない。
実際に起きる可能性が高いリスクとして、
感染症の世界的な流行、金融危機、世界大戦、地球温暖化、そして極度の貧困の5つを挙げている。

ただ世界は確実に良くなってきている
まずその事実(データ)を正しく認識したうえで
さあ、どうするかと問いかけてくる。

あなたがいま見ている世界に対して穏やかな気持ちになれて
これまでの思い込みから脱して、世界に希望をもってまた一歩を踏み出せる名著である。

蒼山継人

2022.2.05

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著 者:ハンス・ロスリング

出版社:日経BP

発行日:2019/1/11

​[Bokrecension] Text

どこまでもあたたかな肯定

読書感想文の課題にもよく選ばれるほど、

不朽の名作と呼ばれる本作品

 

なぜ名作になったのかを考えながら紡ぎたい。

 

主人公は中学に進んだばかりの少女まい

彼女はいじめが原因で学校に通えなくなる。、

どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、

季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、しばらく休んで

大好きな祖母のもとで暮らすこととなった。

 

まいが英国人で魔女の血を引いているという祖母の家に預けられると、大好きな祖母から、自分たちの家系には不思議な力が受け継がれていると聞いて、まいも魔女になるべく手ほどきを受ける。

 

自給自足の穏やかな田舎暮らしのなかで

悪魔が寄ってこないためにも規則正しく生きることを心掛ける。

特にこの魔女修行においての肝心かなめは、

何でも自分で決める、ということだった。

 

感受性の強い少女の心のひだを丁寧に紡ぎながらも

まいが自分なりに生きる精神力を獲得していく姿が心に残る。

 

西の魔女のことばもなにか説教めいたところはなく、訓示的でもないのだが、心にすっと染み渡ることばが散りばめられている。

 

たとえば楽なほうに流されるという事象や表現を見たときに

なぜか感覚的にすぐにそれはいけない事だと思ってしまうが、

魔女は「シロクマがハワイでなくて北極に住んでいてもだれも責めない」と諭してくれる

 

自分が「楽なほう」と思うところは「自分が一番居心地がいい場所」でもあるわけで、つい生きにくいところで生きることを努力として奨励や美徳として捉えがちな現代において、生きやすいところを選ぶことを甘えではなく、ある意味多様性の一つとして肯定してくれるところにほっとさせられる読者も多いのではなかろうか。

 

魔女という表現からなにか魔法めいたことがあるのではないかと、まさしくハリーポッターや指輪物語のような事象を想像した方もいると思うが、そのようなことは起きない。

 

ただある意味、魔法は日常の様々な場所に溶け込んでいて

それは誰にでも扱うことができるのだが、

その魔法の存在に我々が気づいていないだけなのではないかと考えさせられる。

 

孫である少女まいから「大好き」と言われるたびに

西の魔女である祖母は「アイ ノウ」と返す。

 

貴女の愛を私は知っている、理解していると

祖母はきちんと正しく受けとってくれる。

 

人間の根幹を形成するうえでとても大事な時間を追体験できる物語である。

 

世の中には売れる本と残る本というのがある。

もちろん売れないと残ることができないのだが

売れても残ることができない本のほうが大多数である。

時の洗練を経て、いまなお残っている本はそれだけで価値がある。

 

そう思って数多にある本の中でも古典と呼ばれる本を中心に

有限の時間だからこそ、読んできた。

 

まだ本質的にはつかみ切れていないのが、

そこには共通する残る理由があるように感じられる。

 

本作品もまだまだ「最近の本」ではあるが

静かに長く売れ続けている(残っている)のをみると

古典となる日がすぐに来るのかもしれない。

 

蒼山継人

2022.2.22

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著 者:梨木 香歩

出版社:新潮社

発行日:‎2001/8/1

​[Bokrecension] Text

胸を打つ幻想。美しい恐怖。

 

著者であるディーノ・ブッツァーティの名を知っている方は

きっと日本では多くないとは思うが

イタリア文学界では最も権威ある文学賞である「ストレーガ賞」を受賞しており、

20世紀イタリア文学を代表する作家である。

 

そんな彼の短編集で、『神を見た犬』というのも22の短編の表題の一つである。

ウィットに富んだ、強烈なユーモアともいうべき魅力的な短編が詰まっている。

 

ブッツァーティは魔術的幻想文学とも呼ばれているが、

ローマ教皇庁(バチカン市国)のお膝元であるイタリアのキリスト教文化のなかで育ち

元ジャーナリストとしての客観性も相まって

まるでキリスト教を対岸から眺めているかのような

冷酷かつ透明感のあるシニカルさにハッとさせられる方も多いのではなかろうか

 

類まれなる感性から織りなされる物語から

我々の心の奥底にある不安や恐怖、

さまざまな強迫観念が容赦なく突き付けられ

ぞくりと身を震わせながらも読み進めてしまう

 

”モノトーンの哀切きわまりない幻想と恐怖が横溢する、孤高の美の世界22篇”

 

あなたはどの作品が刺さったか

そう語り合うだけでも楽しい夜になるだろう

 

蒼山継人

2021.11.05

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著 者:ブッツァーティ

出版社:光文社古典新訳文庫

発行日:2007/4/20

​[Bokrecension] Text

人間を「人間」たらしめるために。

毎年5,6冊くらい執筆している内田先生の初の講演集。

2008年、2010年、2011年に行われた講演を収録したものである。

 

「知」というものの在り方、贈り方を総じて学ぶことができる。

 

本書の中でも先生が仰っている倍音の効果なのか、

水平的にも時間軸的にも一人の話を聞いたとは思えないほどの余韻が残り続ける。

 

第一講のみ詳細に伝えると神戸女学院大学を退官するときの講義で、神戸女学院大学や関西学院大学、明治学院大学の礼拝堂等を手掛けたヴォーリズ建築の特徴について語られ、「自らの手でドアノブを回したものに贈り物は届けられること」、「存在しないものへのかかわり方」を述べられ、そして「世界内部的に存在しないものと関わることを主務としているのは文学部だけ」と希望を残す。

 

その後の講演録も北方領土問題、政治やメディアの構造、ニチユ同祖論等の様々なテーマに触れられている。

 

特に教育投資に連なる、教育を一望俯瞰できるおぞましさを挙げ、そういった資本主義的な現状の学校教育に対して本来あるべき姿に関して多くのメッセージが詰まっている。

最後には文庫版の付録として共生する作法について残されている。

 

内田先生の本は愛読している筆者としてはどこかで聴いたような話が多いのだが、講演のときの勢いがあるせいか、よりアップデートされて、既知がまるで未知との遭遇のように思える。

 

人間を「人間」たらしめるものは何か。

朝四暮三の故事からそれを「夕方の自分も朝方の自分も同じ自分だ」と思える能力である。

 

内田先生が師事したレヴィナスは他人と他者の言葉の意味を分けて考えており、「他人」とは過去・現在・未来の観点で現在における自分以外を指し、「他者」とは過去・現在・未来のすべてを内包した、たったいまこの瞬間の私以外を指していると示した。

この他者には過去の自分と未来の自分さえも含まれる。

 

そしてレヴィナスはこの他者に対して、誠実であれと言う。

 

知とはまさしくかくあるべきではないか

そう考えさせられる、まさしく倍音響き渡る言葉の書である。

蒼山継人

2021.11.18

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著 者:内田 樹

出版社:文春文庫

発行日:2015/6/10

​[Bokrecension] Text

精一杯、この地球を楽しもう。

幼少期から神さまとの問答を繰り返してきた金城幸政さんの初の著書

その公演は絶大な人気で、

 

目次を見ても、一見怪しいスピリチュアルな印象を受ける

 

1章 神さまに愛される人は笑いとユーモアを持っている

2章 私たちが「神さま」なんだから

3章 人生は超シンプル!ただ思うだけで願いはかなう

4章 その悩みは自分を生きれば解決できる

5章 自愛があれば、必ず幸せになる

 

冒頭からスピリチュアル感が充溢しているので

受け付けられない方は厳しいかもしれないが

ただ読み進めていくと内容としては人生において肝要なことが満載で

「まさか、まじめに生きなきゃなんて思ってませんよね?」という

筆者の言葉の通り、まじめで一生懸命生きている方こそ読んでほしい一冊

 

引き寄せの法則や悩みの解決の仕方含めて

その真髄をさらっと伝えられていて

筆者の聡明さも感じ取れ、人生がとてもシンプルに読み取れる

 

自分は神と知りつつ、とことん人間を生きよう

さあ、やんちゃな旅路へ

 

 

蒼山継人

2021.12.03

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著 者:金城 幸政

出版社:サンマーク出版

発行日:2015/6/4

​[Bokrecension] Text

「さよならを言うのは少しだけ死ぬことだ」

端的に言えば1950年代のロサンゼルスを舞台にしたハードボイルド小説の傑作である。

 

ミステリー分野におけるハードボイルド小説という金字塔を打ち立てたといわれるレイモンド・チャンドラー

 

主人公は世界で最も有名な私立探偵の一人

「フィリップ・マーロウ」

シリーズ全7作品のうち、6番目にあたるのが本作品だが

全作品の中でも最も熱烈に支持されている。

※他作品を読んでなくても、全く問題なく読めます。

 

「ギムレットを飲むのはまだ早すぎる」

「さよならを言うのは少しだけ死ぬことだ」

「アルコールは恋に似ている」等をはじめ、

かつて聞いたことのある名文・名台詞が次々と出てくる。

思わず、ここから生まれていたのだとハッとさせられる。

 

あらすじとしては以下のとおりである。

----------------------

私立探偵として事件の捜査にあたっていたフィリップ・マーロウはある夜泥酔している男、テリー・レノックスと出会う。

レノックスは若々しい青年ではあるのだが総白髪で顔に目立った傷のある男だった。

 

その後もたびたびレノックスと出逢う機会があり、

人柄に好感を抱いたマーロウはバーでの交流を通じて彼と友人となっていく。

 

しかし、彼と知り合ってからしばらくたったある日、

深夜にレノックスが憔悴しきって拳銃を持って

「メキシコへ連れて行ってほしい」と言う。

 

レノックスの事情を詮索しなかったマーロウは指示通りに彼を送りとどけた。

 

その後、マーロウのもとに警察がやってきた。

レノックスの妻(大富豪の娘)が殺されたという。

マーロウは妻を殺した容疑に懸けられたレノックスの共犯者(逃亡幇助)という扱いとなってしまう。

 

彼の犯行ではないという想いと友情から黙秘を貫いたマーロウ。しかし、数日後にレノックスが自殺したという知らせが入り、彼は釈放される。

 

レノックスは本当に妻殺しの犯人であったのか。

真相を確かめるべくマーロウは独り捜査に乗り出した…

----------------------

 

村上春樹が影響を受けたといっているだけあって

その物語の構成そのものから類似性が見いだされる。

 

余談ではあるが

ジョーゼフ・キャンベルの著書「神話の力」でも述べられていたように文化や時代を超えて人びとの心に語りかけてくる物語が『神話』と呼ばれるものであり、その神話の構造と似ているのである。古代から読み継がれていく物語には共通項がある。

村上春樹は、彼の比喩でいうならその金脈を掘ることに成功した作家ともいえる。

 

もどるとフィリップ・マーロウの生き様は、

一個人としては脆弱で、脆さもあり

時折、強欲で強大な資本主義的なシステムに絡めとられそうになるけれど、

金のためでもなく、名誉のためでもなく、女のためでもなく、友情のためでもなく、

ただ、自らの信じる信念のためだけに生きる。

 

そのカッコよさがまさしくハードボイルドである。

 

訳者あとがきには

"準古典小説としての『ロング・グッドバイ』"というタイトルがついており、そのボリュームもしかり、こちらも読みごたえのある内容となっている。

 

筆者も学生時代、教授からよく言われていて

村上春樹も同様のことを述べているが、

「原著は滅びないが訳書には賞味期限がある」

 

清水氏の訳も良いが、この村上春樹の訳が美味しいうちにぜひ読んでほしい。

 

蒼山継人

2021.12.27

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著 者:レイモンド チャンドラー

出版社:ハヤカワ・ミステリ文庫

発行日:2010/9/9

​[Bokrecension] Text

天に宝を積む幸福論

 

「ギバーであれ」という言葉は昨今においてはよく目にもするし、よく聞く顕著なフレーズであるが、この本から影響を受けて発信している人も多いのではないかと思う

 

著者でもあり、組織心理学者のアダム・グラントは人間のタイプを以下の3つに分類している。

 

・ギバー:人に惜しみなく自分の時間や知識を与える人

 

・テイカー:真っ先に自分の利益を優先して、利益の総取りを狙う人

 

・マッチャー:損得のバランスを考慮して行動する人

 

成功をおさめる人々には「やる気」「能力」「チャンス」という3点に加えて「ギバーである」という共通点が挙げられる。特に大成功においてはそうだ。

 

ここで面白いのは上記のように分類されたときに

おそらくみなさん自分はどれかなと思ったと思うのだが

タイミングによって、変わることが往々にしてあることだ。

ほとんどの人が家族や友人に対しては打算なしで相手の役に立とうとする「ギバー」になるが、仕事においては与えることと受け取ることのバランスを取ろうとする「マッチャー」になっているのではないだろうか。

 

そう、ここでも多くの人が仕事において「マッチャー」であると指摘しており、だからこそ、成功するためにも「ギバー」を目指すべきとそのまま指南するかと思いきや、調査によれば、最も成功しているのはギバーであると示しながらも同時に成功から最も遠いのがギバーであることも指し示しているのだ。

 

なのでシンプルにギバーを目指すのではなく

ただのいい人に陥らないためにも、成功するギバーと失敗するギバーについての考察もあり、学びの深い内容となっている。

 

ぜひ読んでほしいため、詳しくは述べないが

ギバーが成功しやすいのは全体幸福に基づいて

そのパイを大きくしようと考えることが大きいのである

 

またギバーは他者の可能性にも期待することを挙げている。

学校の教師と生徒の例もあって、まず「期待すること」

それが能力を引き出して、開花させていくことが書かれているが、これは夏目漱石における『坊ちゃん』の坊ちゃんと清の関係もまさしくそうであることは余談である。

 

そのうえでギバーが成功するためには、

他者に尽くすだけでなく自分の利益にも関心を持つこと。

また人によってギブ・アンド・テイクのやり方を使い分けることが重要であると述べられている。

これもある意味、囚人のジレンマにおける「しっぺ返しの法則」がそのまま当てはまりそうなことも面白い。

 

これからの時代において、自身がどう歩むべきか

どんな価値を返していくをか見つめ直せる良書なのでぜひ

蒼山継人

2022.1.28

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著 者:アダム・グラントその他

出版社:三笠書房

発行日:‎2014/1/8

​[Bokrecension] Text

ひとはいま誰でも変われて、幸福になれる

 

多くの方が絶賛した本書『嫌われる勇気』

 

この本ではないが、私がはじめてアドラー心理学と出逢ったのは高校生の頃であった。

当時も感動したが、いまだにその考えをきちんと理解し、落とし込み、実践しきれているかというとまったくそんなことはないため、改めてこの書評で整理し、再実践できたらと思う。

 

本書は心理学者「アルフレッド・アドラー」が提唱した

「個人心理学(アドラー心理学)」から対人コミュニケーションの極意を解説した一冊といえる。

精神分析学や心理学といえば、「フロイト」や「ユング」が有名であるが、世界的にはさらに「アルフレッド・アドラー」を加えて、「心理学の三大巨頭」と並び称されている。

 

本書の構成は非常に読みやすい形になっており、アドラー心理学を修めた哲学者である「哲人」と、対人関係を中心とした悩みを抱える「青年」のダイアローグ(対話形式)で、

アドラー心理学のエッセンスを分かりやすく解説するという形になっている。

 

人間は社会生活を営んでいく上で、

上司、部下との関係、家庭内(パートナー)の関係など、

いろいろな悩みを抱えている。

 

確かにビジネス、プライベート、様々なシーンにおいて、

抱えている悩みの種類は異なるようにも思えるが

しかし、これらの悩みについて、アドラーは次のように断言している。

 

「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」

 

そんなことはないと思う方にこそ、ぜひ読んでもらいたいが

他者の存在があるからこそ、悩みは生じてしまうのである。

 

たとえば孤独という一見個人の問題と思われる問題も、

「普通なら他の人とうまく付き合っていけるはずなのに、自分はできない」というように

社会・他者が存在しているからこそ生じるのである。

 

そのうえで、ではその他者とどう善き関係を築いていったら良いのかを本書では展開されている。

 

その出発点として「課題の分離」を挙げている。

 

「馬を水辺に連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない」と格言があるように、コントロールできない他者である馬の課題を自身の課題にしないことが肝要である。

 

他にもキーとなる考えが多く含まれているのでぜひ一読いただきたい。

 

またアドラー心理学の中で特筆した概念が原因論ではなく目的論で捉えることである。

 

そのため、アドラー心理学はトラウマを明確に否定している。

 

こちらは少し解説するとたとえば、引きこもりの人を原因論で考えたとき、「不安だから、“仕方なく”外に出られない」と考えることができる。

 

だが目的論(アドラー心理学の考え方)では順番が逆となる。

 

つまり「外に出ないという目的のために、不安という感情を作り出す」と考えるのである。

 

もちろん過去のさまざまな出来事は、人格形成へと強く影響をあたえることは否定しないが、しかし大切なのは、それによってなにかが決定されるわけではないということである。

 

「いまのあなたが不幸なのは自らの手で「不幸であること」を選んだからなのです。」と、このように本書には一見厳しい言葉も散見されるが、逆に幸福であることを選べば、すぐに変われることを示唆しているともいえる。

 

ここまでの内容からもわかるようにアドラー心理学の影響力は強く、自己啓発の世界的ベストセラーとして古くから読まれている、デール・カーネギーの「人を動かす」やスティーブン・コヴィーの「7つの習慣」にも、影響を与えたといわれている。

 

「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と述べた

アドラー心理学では「「対人関係のゴールは共同体感覚」だと述べている

 

共同体感覚とは他者を仲間だとみなし、そこに自分の居場所があると感じられること。そのためにも他者に貢献することが大事であると述べられている。

 

幸いにもこの失敗図書館は、まさしくその共同体感覚を醸成できる場なのではないかと思えたことが今回の大きな発見でもある。

 

多くの人にとってそうであるようにまた貢献していきたい。

蒼山継人

2022.2.08

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著 者:岸見 一郎、古賀 史健

出版社:ダイヤモンド社

発行日:‎2013/12/12

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