東京都荻窪『地酒専門店いちべえ』
~名酒場でヨイシレル~
今年一番となる良縁をいただいた———
きっかけを作ってくれたのはこのお店のご常連さんだ。大安と一粒万倍日が重なるというとても縁起の良い一日に、こちら荻窪にある人気店「地酒専門店いちべえ」にて盛大な日本酒会を開催させてもらえることになった。
到着してまもなくご挨拶して下さったのは店長の永澤比呂無さん(日本酒提供者マイスター・ソムリエ)、実名だそうだ。案内していただいた掘りごたつの他に、店内には広々としたお座敷やしっぽり呑めそうなカウンター席もある。腰を下ろすと、テーブルに触れただけで安心感と懐かしさが伝わり、不思議とそれだけで名店であることが私にはわかった。
常時200を超えるという日本全国から集められた銘酒たち———
ほんとうに素晴らしい。誰もが眺めているだけで幸せな気持ちになるだろう。しかし、ただ数を揃えれば良いということではない。名店たるもの、そこには酒呑みを納得させ、心を満たす何かが必要なのだ。
馴染のものや生まれ故郷の酒があって、また誰もが新しい出会いや発見を求めているだろう。蔵元も一生懸命にお酒を造っているのだから、同時にそれを正確に伝えることも彼らの仕事なのだ。決して簡単なことではない。このお店には、深いお酒への愛情とそれだけの心構えが備わっている。そこに安心と信頼が生まれ、多くのファンが根付いていくのだ。
たくさんの色紙が飾られている———
暖簾越しにはとても賑やかな雰囲気が漏れていて、それがまたより一層期待を高めてくれる。
一軒目なら予約は必須だ。ここまで来て入れなければ悲しすぎる、、
しっかりと温度管理された全国の銘酒たち———
暖簾をくぐると2台の大型セラーが目に飛び込んで
きた。ここでは談笑しながらスタッフと共に日本酒
を選んでいるゲストが多く見受けられた。
ここにテーブルがあったら1年先まで予約は取れな
いだろう(笑)
刺し盛りが運ばれてきた———
カウンター越しの厨房で職人たちが腕を振るっていた。味も盛り付けも素晴らしく、早速一杯目に青森の「豊盃」をいただいた。満席状態で大忙しのはずだが、この日はお任せに加え、アラカルトにも対応していただき皆大満足だった。
この店の定番「じゃが明太」———
女性の参加者から歓声が上がる。細切りにされている
から食べやすく、その場でかき混ぜていただく。
他にも、クリームチーズの西京漬けや山菜の天ぷら、
揚げ出し豆腐など、季節のおすすめの品々に加え、豊
富なメニューが揃っている。
ひじきがたっぷりと入った手作り餃子———
時間の許すかぎり、店長みずから仕込みをおこなうそうだ。和風に仕立てられており日本酒との相性も良く、この日の一番人気だった。
ヨイシレル呑兵衛さん———
すでに一人のファンが根付いたようだ(笑)
これを見れば、多くを語る必要はないだろう。
是非、この名酒場を訪れて欲しい———
安心して酔っていいよ———
滞在を通じてずっとそんな安心感があった。大勢でわがままも言わせて貰ったが、このお店にはそれに動じない懐の深さがある。スタッフの笑顔と心配りにも感謝しつつ、全員が本当に居心地の良い時間を過ごすことができた。温度管理の難しい燗つけも見事だったので、それも付け加えておきたい。彼らは日本酒の楽しみ方を熟知しているのだろう。
帰り際ふと思ったが、そんな名酒場を演出する彼らにせっかくなら一杯ご馳走させていただくべきであった。そうすれば日本酒のことをもっと色々と教えて貰えたかもしれない。そんな反省もしつつ、まだ呑むのかと言われても、私はまた再訪するだろう。その時を待ち望んで———
地酒専門店『荻窪いちべえ』
〒167-0043
東京都杉並区上荻1-13-3 第一小河原ビル3F
03-3220-2952(要予約)
©︎失敗図書館