早稲田大学国際文学館『村上春樹ライブラリー』
The Waseda International House of Literature
The Haruki Murakami Library
21/11/1
初めての来訪———
大きなイモムシがくっついているのかと思っていたら、なんと隈研吾さんがデザインしたトンネルのオブジェだった。村上春樹さんの作品に触れると『トンネルの中に吸い込まれていくような感覚を味わう』という世界観から着想を得たそうで、彼も村上作品に強く魅かれた一人なのであろう。
文学と建築デザインの融合により、外観から館内に至るまで、いつの間にか早稲田キャンパス4号館は見事なまでの変身を遂げていた———
期待が高まり、同時に心も弾んでくるから建築とは不思議なものである。足元にはオブジェの影が映り、ひょいとキャットウォークをしたくなる気分だ。
———館内で受付を済ませると、まず目に飛び込んでくるのが階段の両脇に造られた立派な本棚である。
村上愛好者・研究者に新しい発見と交流を促すことを目的として、直筆の原稿や執筆関係資料、インタビュー記事、海外で翻訳された書籍などがとても見やすく配架されています。これらは実際に手に取って閲覧することができ、館内にもいたる所に読書スペースが設けられています。
ギャラリーには、
「息をするのと同じように」というタイトルで、村上春樹さん
のご挨拶文が掲示されていました。学校や国境の壁を自由に抜
け、『息をしやすい学びの場』になって欲しいという彼の願い
に多くの方が足を止めています。
デビュー作品『風の歌を聴け』———
故郷を想わせる描写、ジェイズ・バー、大好きなレコード、ひとつの嘘。馴染のフレーズが懐かしく、すでに40年の月日が 経っている。カフェにジェイズポテトがあったら良いのに。
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B1Fのカフェの奥には、村上春樹さんの書斎が再現されていました。実際に使用していたチェアや、棚にはレコードが展示されており、ひょっとするとあれは彼が学生時代にアルバイトをして買ったレコードなのかもしれない———
展示室には設計段階の4号館のミニチュア———
トンネルや本棚のデザインだけではなく、配置する家具や館内サインのひとつひとつに至るまで、何度も話し合いが重ねられたそうです。このコーナーでは、建築と文学に纏わる書籍も展示されていました。
館内には、学生主体で運営するカフェ『橙子猫』やオーディオルームも併設されています。
珈琲を飲みながらのんびりと村上作品や建築の世界を楽しむ———トンネルを抜ける頃には、なにか新しい気付きや学びが得られているのかもしれません。
館内の利用は予約制となっていますが、親切な女性スタッフの配慮が感じられ、とても有意義な時間を過ごす事ができました。感謝をお伝えしたいと思います。3Fには国際文学、翻訳文学の研究エリアもあるとのこと、次回は研究書庫にも訪れてみたいと思う———
~物語を拓こう、心を語ろう~
早稲田大学国際文学館「村上春樹ライブラリー」
〒169-8050 東京都新宿区西早稲田 1-6-1
https://www.waseda.jp/culture/wihl/
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