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「予想どおりに不合理」
著 者:ダン アリエリー
出版社:早川書房
発行日:2013/8/23
2022年8月21 日
人間の不合理性を証明してくれる。
まさに行動経済学の面白さを教えてくれる一冊。
著者は近年の論文や本によく引用される行動経済学者のダン・アリエリーである。
行動経済学とは、典型的な経済学ではなく、
実際の実験やその観察を重視して、
人間がどのように選択や行動を行い、
その結果がどうなるかを究明することを目的とした経済学の一分野である。
人が行動を起こす動機を研究した本であるともいえる。
経済的合理性のみに基づいて個人主義的に行動する人間は"ホモ・エコノミクス"と呼ばれるが
実際の世の中においてはこの"ホモ・エコノミクス"のような人間はあまりいない。
なぜなら人間は往々にして冷静な判断ができず、
不合理な意思決定をしてしまうことが多々ある。
いや、むしろわかった上で不合理な行動を起こしているのだ。
行動の背景は必ずしも合理的ではなく経済学上は間違っているけれど、
よくよく自分に置き換えて考えてみれば、
経済学的には間違いとされる行動を取ることに納得できるシーンも少なくない
本書では筆者のダン・アリエリーが
そうした人間が「見て見ぬフリ」をしてきた
『人間がなぜ不合理な選択や行動をしてしまうのか』について
明らかにしようと数多くの実験を行い、考察し、
その結果を分析・検証している。
他人や環境・自分自身の感情や先入観で、
簡単に不合理な意思決定や行動をしてしまうことが明らかとなってくる。
我々の意識的選択は無意識的に選択させられていることもきっと多いのだろうと実感する。
いまこの瞬間の意思決定がアンカリング(認知バイアス・錨)となって、
未来の行動に影響を与えることにもなる。
人間の心理や行動経済学を学びたい人はこの本からをおすすめする。
マーケターは必読書である。
蒼山継人
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